2021年6月21日月曜日

【防災のお話】ペット防災~世田谷区獣医師会の取り組み

 ペット防災について

私たちペットの飼い主がお世話になっている動物病院の先生方。
世田谷区獣医師会では日頃の診療だけでなく

ペット防災については、
”大規模災害発生時に大切なペットと一緒に避難ができるよう”
#もしペットと離れてしまってもすぐに見つかるよう”
世田谷区とともに災害・防災対策の活動をされています。

ペット防災について、世田谷区獣医師会の取り組みについて
支部長本間義春先生、防災委員長田部久雄先生に原稿を寄せていただきました。
ありがとうございます。



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「ペット防災~世田谷区獣医師会の取り組み」


(公社) 東京都状医師会世田谷支部  支部長    本間義春 先生

                 防災委員長  田部久雄 先生


【1】獣医師会の防災活動への取り組みについて     

東京都獣医師会世田谷支部(以下獣医師会)では、世田谷区とペット防災に関する協議を行

い、災害時に獣医師会所属の動物病院が被災していない場合、負傷した動物の応急処置を

無料で行うという契約のみ締結していました。


 その後、東日本大震災以降、区民の皆様の防災意識が高まったことにより、

獣医師会は、保健所、街づくりセンターなどと相談し、会を5ブロックに分け、

ブロック毎に2名以上の防災委員を配置することで、ペット防災についての講演、避難場所

の確保、実地訓練など、アドバイザーとしてペット同行避難に貢献してまいりました。

                   *世田谷区獣医師会HPより

その効果もあり、平成30年には、たった2か所での防災講演も、令和元年には9かに急増

いたしました。

 令和1年は、台風19号による多摩川決壊もあり、地震対策だけではなく、温暖化による風

水害対策についても検討し、氾濫個所に一番近い支部員の先生に、当時の対処法を報告して

いただき、獣医師会内で情報共有するとともに、東京都獣医師会の会報にも掲載させていた

だきました。

 また、獣医師会支部防災委員だけにではなく、支部員全員に、ペット防災に関する知識を

つけ、地域に貢献できるように、


令和1年10月の支部会にアナイス(ヒトと動物の防災を考えるNPO法人)代表平井潤子氏を講師に招いての勉強会、

令和2年の8月には、平井氏はじめ、世田谷区議の先生、獣医師会防災委員、杉並支部、

現支部長、前支部長、保健所課長、とともに、地震と風水害に関する勉強会を行い、その結

果をまとめ獣医師会で共有いたしました。


杉並支部のみならず、新宿支部、品川支部など隣接した他支部との情報交換にも、力を入れ

るようにしています。


【2】ペット防災せたがやネットワーク(以下P防)と獣医師会の連携について

 P防様が結成されて、令和2年9月に、その活動内容をご説明いただきました。

情報ボランティアとして、素晴らしい活動で、区民にペット同行避難を提供するのに最適と

思い、獣医師会も積極的に協力しています。

 令和2年11月には、保健所、世田谷区議との三者協議、山野小での防災訓練に田部防災委

員長とP坊の浜田代表、斉郷理事2名ともにご参加、取材していただきレポートにまとめて
共有いたしました。→レポート

その後も令和2年12月17日には前述の平井潤子氏と、発災時の情報収集と難しさについて、

過去の失敗例をもとに勉強、検討会議を行いました。

今後も、獣医師会は、

防災のイロハである自助、共助、公助の周知徹底への協力、

時の際に、行っておくべき準備の啓発として、避難所に動物を避難させる場合に必要な
防、しつけ、避難所に持ち込むフード、飲料水、常備薬などの情報提供をするとともに、

P防のポスターの院内掲示、HPへのバナー添付などの協力を行っています。


【3】 今後の課題について    

 獣医師会としては、発災時には基本的に動けませんので、平時のうちに、できうる限り
 P防様等を主体とした、備えを行えねばなりません。

a) ペットの避難場所の確保、飼い主様の防災意識の向上、啓蒙活動

世田谷区では、ペット同伴避難は認められていません。ペット同行避難と言い、飼い

主様とペットの居場所は別々となります。ペットの鳴き声、糞尿の臭い等による、ペット

を飼っていない人とのトラブルを何としても回避しなければなりません。

 

個々の飼い主様の、ペット防災に関する意識の向上も、非常に大切だと思われます。

大きな災害に見舞われた場合、公立の小中学校だけでは、ペットを受け入れる避難場所

としては、圧倒的に数が足りないかもしれません。

さらに、新型コロナ感染症の三密対策により受け入れキャパシティに制限が生じているのが実情です。


昨今では、公設の避難所だけでなく、その他にも個人的な避難先を平時に確保しておき、

臨機応変に避難できるよう「分散避難」を心掛けることが推奨されています。それらの情

報を飼い主様に啓発し、飼い主様自身が複数の避難先を確保しておくことが、喫緊の課題

と思われます。

避難場所設定に関する、衛生面も含んだアドバイスであれば、獣医師会としてもご協力

できるのではないかと思います。


b) 発災時の正確な情報収集と、情報発信について

P防様が、この部分の担当となると思いますが、玉川1ブロックのボランテイアが中心と

なって世田谷全域をカバーすることは、100%不可能です。

保健所では、被災動物ボランティアを区民に対して募集しており、その勉強会等を通じて、

仲間を増やすことが、まず、必要と思われます。

また、獣医師会の先生の中にも、ペット防災のボランティア活動に積極的な患者様等を

ご存知かもしれませんので、獣医師会の先生を介して繋がりを広めることも可能ではないで

しょうか?

 

そして、各ブロックにP防様のような情報に関する拠点となる団体を設置し、互

いに連携を取ることで、多少はパニックを防ぐこと可能だと思います。


 正確な情報の発信は、時間軸に差が生じるため、保健所、獣医師会、P防様等のボラ

ンテイアか密接な連携をとり、オンタイムでの情報管理ができる様に訓練しておくこ

とも、今後の大きな課題でしょう。


【まとめ】

  発災時には、行政、獣医師会、ボランティア団体が行えることは限られてきます。

 いつ起こってもおかしくなく、ちゃんと機能するか疑問な点もあります。

 しかし、平時から少しずつでも各所が連携を取り、問題点をあぶりだし、解決していく

ことにより、被害を減らすことは可能です。

 最後に、飼い主様が、常日頃、イメージトレーニングをすることも、大切だと思います。

為すべき課題は、山積していますが、 獣医師会としても、平時に、できる限り各所と連

携、協力を促し、情報提供も行うことにより、お役に立てるよう、微力ではありますが、

努力を続けていく所存です。


                   



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●世田谷区獣医師会 HP

●世田谷区獣医師会 HP:防災/災害対応