2022年12月12日月曜日

【獣医師のお話】世田谷獣医師会より・寄稿シリーズ6 誤飲誤食の事故としつけの大切さ

 ★飼い主の皆様へ気になる話題をわかりやすくシリーズでお届けいたします。

 第6回は 誤飲誤食の事故としつけの大切さです。

                 ご寄稿  獣医師 医学博士 本間義春 先生



 特に、仔犬から成犬に達するまでに多く見られることですが、誤って、飲食してはならない危険なものを、誤飲誤食して、何らかの処置を施さなければならない事が、意外と多く見けられます。

チョコレート、レーズン、ネギ類など、単純な食物であれば、飲食後一定時間内であれば、催吐(吐かせること)処置により、問題を解決できますが、食物以外のものを飲食し、知らずのうちに時間が経過して、激しい嘔吐、下痢、などを起こし、食べたものが閉塞、またはそれによる捻転を起こしていると疑われた場合、内視鏡や外科手術で除去しなければならなくなります。

食物以外でも裁縫の針(光るので興味を持つのでしょう)、ゴムポール、ビー玉、ソックス、変わり者では釣りに使うルアーなども興味を持ち誤食してしまいます。



 いくつか、お笑い話のような経験談をさせていただきます。まだ、内視鏡が普及していない時代のことですが、コッカースパニエルの成犬が、スジャータを容器ごと大量に食してしまいました。一部小腸に達し閉塞したので外科手術で除去しました。本犬?もさぞかし、苦しくて痛い思いをしたことでしょう。傷も無事に治り退院した翌日、その飼い主様から涙声で連絡が入りました。「帰ってきたら焼き鳥を串毎、何本も食べてしまいました」焼き鳥の誘惑に負けて、手術の時の痛みも吹っ飛んでしまったのでしょう。結果、でもどり再手術となってしまいました。


 


バレンタインの日にお母さんが手作りのチョコを家族のために作り、机の上に山盛りにしていたら、ミニチュアダックスが、全部食べてしまいました。クッキング用のチョコは、カカオの濃度も濃く(最近はカカオ濃度の濃いチョコも市販されているので要注意)、黄疸が出て、見事にチョコレート中毒になってしまいました。点滴や強肝剤の投与などで、何とか事なきを得ましたが、1か月後のホワイトデーの日、またもや手作りチョコを食べてしまったと連絡が入りました。この時は、すぐに吐かせたので大事には至りませんでしたが、バレンタインデーとホワイトデーが悲惨な記念日となった嘘のような本当の話です。

 食べてしまった後であれば、対処方法は限られてきますが、まずは、誤飲誤植をしないよう、日ごろから「口の届かない」場所に密封保管することが大切です。猫ちゃんでも、ゴミ箱をひっくり返して、魚を包んでいたサランラップごと食べて、腸閉そくを起こしたこともあります。(多分、かかりつけの先生方も様々な経験をなされていると思います)

 もし、食べようとしている現場を見かけた時、いきなり取り上げようとすれば、飼い主様が大けがをすることは間違いありません。回避する方法の一つは、大好きなオヤツやオモチャなどで気をそらして、その間に取り上げてしまう事です。

 また、「座れ」「No!」、「待て」など行動を中止させるしつけを十分に行っておくことも大切だと思います。しつけに関しては、防災の面でも「ハウス」や無駄吠えをさせないなど、重要なことがいくつもありますね。誤飲誤植は人災です。気を付けていれば防げます。


2022年12月8日木曜日

【獣医師のお話】世田谷獣医師会より・寄稿シリーズ 5 初めてペット(主に犬猫)を飼われる(飼われた)方へ

 ★飼い主の皆様へ気になる話題をわかりやすくシリーズでお届けいたします。

 第5回は初めてペット(主に犬猫)を飼われる(飼われた)方へ です。

                 ご寄稿  獣医師 医学博士 本間義春 先生




コロナ禍で、在宅ワークなどが広まりそれを機会にペットを飼われる人が増えたといわれています。実際に令和2年度より令和3年度の、世田谷区の狂犬病予防注射の実施頭数だけで約2000頭も増えています。

 問題は、飼ったら責任をもって、その子の寿命を全うできるまで、共に暮らしてもらえるかです。すでに、コロナ禍で2年以上が経過し、捨て犬や捨て猫が増え始めているという話を耳にすることもあります。そうならないためには、どうしたらよいのでしょうか?

 


【その1】飼う前に飼おうとする動物のことを良く知っておくこと

  何事も予習が大切ですが、犬、猫の種類によって、体格、かかりやすい病気、性質、習性が異なってきます。以前ご紹介した改正動物愛護管理法によって、ペットショップやブリーダーは、譲渡する前にその動物についての十分な説明をして、健康チェックをしたうえで、販売することが義務付けられていますが、お店任せではなく、自分でも、ネットや本から様々な情報を得ておいた方が良いでしょう。

 飼った後で「こんなはずではなかった」という事がないようにしましょう。

 かかりつけの動物病院も、お近くでいくつか候補を探しておいた方が良いでしょう。


【その2】動物を飼うことはそれなりに費用がかかることになります

  仔犬や仔猫を家庭に迎えてから、看取ってあげるまで、予防や治療、食事、お手入れなど、場合によってはしつけ教室など、毎年それなりの費用が掛かりますし、特にシニア世代になってくると、いろいろな持病を抱え込むことも珍しくはありません。高度な検査や治療になると、人間とそうかわらない器具、器械やクスリなどを使用していますので、驚くような高額治療費がかかることもあり得ます。ペットのことで、家計が破綻しないように、

よく考えてから、飼うようにしましょう。(しつけも重要です)

 将来のことを考えて、少額でも積み立ての貯金をしておくとか、ペットの保険に加入するのも、いざというときの大きな出費を減らす方法です。


【その3】家庭に迎えたら、1週間は健康状態をよく観察しましょう

 家庭に迎えたとき、仔犬、仔猫ちゃんたちは、環境の変化によって大きなストレスを抱え込みます。ストレスが隠れていた病気を誘発することもありますので、食欲、嘔吐。下痢、

咳、皮膚などの様子や、体温のチェックをしておいた方が良いと思います。


【その4】体調が良くても、一週間くらいしたら動物病院で健康チェックを受けましょう

 最近は、ジアルジアという寄生虫の感染症など、販売前の検査をすり抜けてしまう病気もみられますし、ストレスが少なくなったところで、生まれつきの異常がないか、ストレスによって発病した秒は着ないか、動物病院に連れて行って診てもらいましょう。

勿論、いきなり連れて行かず、事前連絡や予約をしてから連れて行くのがマナーです。





2022年11月23日水曜日

【獣医師のお話】世田谷獣医師会より・寄稿シリーズ4 学校飼育動物について(獣医師会の取り組んでいる事業)

 ★飼い主の皆様へ気になる話題をわかりやすくシリーズでお届けいたします。

 第4回は学校飼育動物についてです。

                 ご寄稿  獣医師 医学博士 本間義春 先生


 


 今回は、病気や健康のことではなく、獣医師会が取り組んでいる事業についてご紹介させていただきます。ペット防災せたがやネットワークの皆様もご存じのように、獣医師会に所属されている先生方は、日々の診療の他に、人獣共通感染症の情報共有と飼い主様への注意喚起狂犬病予防事業不妊事業、防災面でのアドバイザー的役割、子供たちに命の大切さを教えるための学校飼育動物指導など、先生によって多少の温度差はあるものの、役割分担をしてご尽力いただいています。

これらは、ペットや飼い主様のためだけではなく、区民、都民のため、また、将来を見据えた大切な活動です。

小学校の教員の皆様は、マスコミでもたびたび取り上げられるよう、オーバーワークで大変です。飼育動物の様子を見たり、生徒さんたちに指導する余裕はほとんどなく、「なんとなく情操教育のため学校で飼育している」というのが現状の様です。

 東京都獣医師会と東京都教育委員会の間で、2年間ワンセットで、都内の5校の小学校に手を挙げてもらい、「小学校動物飼育推進校事業」を実施しています。

世田谷支部では、

過去に、平成2627年度に区立山野小、平成2829年度に区立松原小、そして、令和23年度に区立太子堂小学校で、事業を実施してきました。令和45年度も区立松沢小で実施する予定です。



学校飼育動物に対する知識、生徒さんへの獣医療の現場ならではのお話をすることで、動物に親しむこと優しく接すること動物を思いやる心を育てる事、高学年でのキャリア教育が大きな目的となっています。 

 具体的内容としは、事前に小学校と打ち合わせを行い、12年生のふれあい教室、6年制には獣医の仕事というキャリア教育、飼育委員会指導などを行います。内容は学校ごとに異なりますが、基本は同じです。

 例年、授業もふれあい教室も、対面式の授業を実施していましたが、特に、令和23年度に実施した太子堂小の場合、新型コロナ禍での授業なので、かなり苦労いたしました。

ふれあい教室と飼育委員会指導は、対面式で行い、その他の授業はZOOMを用いて非対面式で行いました。

 低学年のふれあい教室では、事前にウサギの抱き方や心臓の話など簡単にZOOMで授業を行った後、ふれあい教室で実際に犬やうさぎとふれあい、心音を聴いたり、実際に手術で用いる器具などを見たり触れたりして、命の大切さを少しでも肌で感じてもらおうという試みです。コロナ前でのふれあい教室では、一人ひとり聴診器でウサギの心音を聴いてもらいましたが、コロナ禍では、拡声器を用いて、皆で一度に聞くようにしました。実際に、ウサギや犬の心音を聴いた時に、目を丸くする生徒さんたが、今でも忘れられません。





 飼育委員会の指導は、実際にうさぎ小屋の環境を視察、指導し、ウサギの飼育についての知識を伝えます。飼育委員会の生徒さんから低学年の子供たちに、会得した知識を教えてあげることも大切です。太子堂小では、ものすごく臆病であった2羽のウサギが、飼育委員会指導により、翌年には、ふれあい教室でおとなしく生徒さんたちに抱かれるまで性格が変わったことで、副校長先生をはじめ。皆驚かれていました。




 過去の、小学校でのキャリア教育の授業でも、諸先生方の個性に合わせた授業が行われて、確実に、教育的効果が得られているようです。

 

 これら授業を受けることで、将来獣医さんになってみたいという生徒さんの意見も多々聞かれました。また、実際に、ゆとり教育の時代に私自身で山野小から依頼され独自に授業を行ったときの生徒さんが、なんと、今は、自分の病院の動物看護士として仕事をしています。公立の小中学校では、手術などの重症例を除き、基本的には学校動物の診療、治療、指導を世田谷支部では無料で実施しています。獣医師会のほとんどの先生方も、日々の診療の中でも、子供たちに、いかに、思いやりをもって動物に接するか、心を砕いて接していると思います。

また、公立の学校は災害の際の避難場所に指定されますので、一見関係のないように見えますが、小学校との関係を良好に保つことが、防災活動にも活かされてくると思われます。

 これを機に、ワンちゃん猫ちゃんは、今何を考えているのだろう、どのように感じているのだろうという、相手を思う気持ちについて、御家庭内でお話しすることができると、優しい気持ちを育てることになるのではないでしょうか?

 動物を飼っていないご家庭でも、授業の後で話し合いをしているようで、何年か後に、

保護犬を受け入れたご家族もあり、そういう話を耳にすると、この事業を継続していくことの大切さを感じさせられます。

 令和45年度は、松沢小ですが、1学年5クラスのマンモス校で山野小と同程度です。

すでに、1年生の授業(9/8)、ふれあい教室および飼育委員会指導(9/13)を対面式で実施いたしました。授業の様子の一部は、松沢小HPの学校日記に掲載されていますので、ご参照ください。

 

2022年9月14日水曜日

【お知らせ】10/20(木)ペット防災講演会開催

 『ペット防災講演会のお知らせ』 

 

■開催日:2022 1020日(木)

■時間:9:3011:30  

■受付時間 開始10分前の920分〜

■場所:中町ふれあいの家

https://www.setagayashakyo.or.jp/service/sasaeai/kyoten/page-20150220142447/

■対象 世田谷区在住でペット防災に関心のある方

■定員 20

■参加費500円 *当日は動物の同伴はできません。

■主催 ペット防災せたがやネットワーク

令和4年度 地域の絆連携活性化事業として開催します。

 

講演会内容

 1.「災害時動物病院はどうなるの?災害時の世田谷区獣医師会の対応」

おはなし:世田谷獣医師会 防災委員長 アルマ動物病院 長谷川院長

 

2.「災害が起きたら、どんな行動をとればいいの?災害時のペット同行避難の現状」

おはなし:「ペット災害危機管理士 倉田美幸さん

 

3.「災害に備える、防災グッズ紹介、ペット防災せたがやネットワークについて」

おはなし:ペット防災せたがやネットワーク代表 防災士 浜田あゆり 

 

 


■お申込み方法 

 petbousai@gmail.com あて メールにて下記1から7の内容を記載の上お申込みください。

 

件名「ペット防災講演会」

1,お名前 (ご家族で参加の方は代表者名をお書きください)

2, お申込み人数 *ご友人と参加の場合はお一人ずつお申込みください。

3,ご住所

4,連絡先電話番号

5,ペット防災せたがやネットワーク会員又は非会員か

6,ペットの種類

7,日ごろから気になっている事や質問したい事

 

■お問い合わせ (担当 浜田)

メール  petbousai@gmail.com あてお願いします。

2022年8月11日木曜日

【獣医師のお話】世田谷獣医師会より・ 緊急寄稿 犬の熱中症について

 ★飼い主の皆様へ

 猛暑が続いています。犬の飼い主の皆様へ「熱中症」について世田谷獣医師会より緊急寄稿いただきました。ぜひご覧ください。
 ペットとともに酷暑を無事に乗り切れるよう、どうか十分にお気を付けください。


                 ご寄稿  獣医師 医学博士 本間義春 先生

          

 

今年は、7月には最高気温が35℃を超える猛暑日が続くような、異常に暑い夏です。

人では、新型コロナと熱中症患者が搬送されてくるため、大変な状況に陥っているようです。まだまだ、酷暑は続きますし、残暑も長く続くかもしれません。

 

P防様に参加されている飼い主様であれば、熱中症のことは、常識的な話かもしれませんが、いくつか、大切な要点を押さえておきたいと思います。

猫に関しては、熱中症の症例は犬と比較すると極めて少ないため、割愛させていただきます。

 



1        犬は人間より体高が低いため、お散歩で、道路の熱反射の影響を受けやすいので、

昼間のお散歩は日陰を通るにしても避けるべきです

お散歩前に、ご自分の手で道路の温度を確かめることをお勧めいたします。

高齢犬や心臓病などリスクを抱えている場合は特に用心してください。

人とは異なり暑いとかダルイとか言えませんので、お散歩中も、呼吸が荒くなっていないか、ふらついていないか、など様子を十分注意して観察してください。

散歩中は一休みしつつ、犬用のポカリで水分補給することも良いでしょう。


2        犬には汗腺がほとんどないため、体温調節を呼吸にゆだねていて、高温や多湿の場合、熱の逃げ場がなくなり体温が上昇しやすくなります。これは、屋内、屋外ともにいえることです。人よりも熱中症にかかりやすいと言われる所以です。

夜に気温が下がってきても、湿度が高い時は要注意です。

日中は勿論のこと、夜間もドッグランなどで激しい運動をしたり興奮することは避けましょう。


3        室内犬でも、クーラーのスイッチを入れ忘れたり、温度調節の間違いは事故につながります。帰宅為された時、愛犬がアワを吹いて痙攣をおこしている、なんてことのないよう、ご注意ください。


4        トリミングに出す時も、多頭数をケージに入れて集めて回っていないか注意してみてください。仮に車中で空調を利かせていても、多数のケージに入れられてしまっては、ケージ内で熱がこもってしまい、到着直後のお散歩時に熱中症になったり、トリミングから帰ってきたときに体調を崩してしまうケースも見受けられます。

ご自分でお店まで、できれば車でお連れ頂くことが、一番安全です


5        旅行に連れて行くときなども、ケージに入れる場合、通気性の優れたものを選ぶべきしょう。また、人間のお子様同様、車中に長時間置き去りにすることも避けましょう。


 



 

では、もし、愛犬が熱中症になってしまった場合、どうしたら良いでしょうか?


1      まず、首、脇、内股など太い血管が存在する場所を、タオルをまいたアイスノンで冷やしましょう。ただし、体が冷えてきたから大丈夫と自己判断することは、大変に危険です。


2        熱中症になったとき、全身の体温がひどい場合44℃くらいまで上昇しています。

40℃を超えると、体のタンパク質が破壊されてしまいます。脳、神経細胞、その他の内臓など、ありとあらゆる臓器がダメージを受けていて、適切な処置を施さないと、仮に体温が下がったとしても、多臓器不全を起こし死に至りますので、1で書いたように、体温を下げつつ、動物病院に必ず連れて行ってください。


3        旅行先など必ずしもかかりつけの病院に連れていけないケースもありますので、特に、心臓、その他持病を持っている場合、どのようなクスリを常用しているのか、どんな持病を持っているのか、処置をするドクターに説明できるようにしておいた方が良いと思います。


4        一番大切なことは、目の前で愛犬がアワを吹いて痙攣をおこしていても、慌てずに冷静に対処することです。そのためには、すべての危機管理に関して言えることですが常日頃から上記対処法をイメージトレーニングしていただくことが大切だと思います。

 

行動制限がなく、新型コロナも爆発的感染拡大を見せていますが、熱中症にも気を付けつつ、ペットとともに酷暑を無事に乗り切れるよう、どうか十分にお気を付けください。




2022年8月4日木曜日

【獣医師のお話】世田谷獣医師会より・寄稿シリーズ 3 マイクロチップ(MC)について

 ★飼い主の皆様へ気になる話題をわかりやすくシリーズでお届けいたします。

 第3回は 「マイクロチップ(MC)」についてです。

                 ご寄稿  獣医師 医学博士 本間義春 先生



6月から改正動物愛護管理法が施行されました生後30日齢の犬や猫へのマイクロチップ(以下MC)の装着が義務化となりました。MCを装着した獣医師は証明書を発行しなければいけません。現在飼われている方は、努力義務です。




MCを装着することには大きな意味がいくつかあります。

 

【その1 】 飼い主およびその責任をはっきりさせること

 MCの情報には、国籍から飼い主の氏名、犬猫の種類年齢、性別、装着した獣医師の氏
名などが含まれています。新型コロナの影響でペットを飼う人が増えましたが、捨て犬。捨て猫を増やさないため、飼い主の所在と飼育責任をはっきりとさせる意味があります。


【その2】 迷子になったとき(特に災害時など)

 災害時に離れ離れになったとき、MCが装着されていれば、誰の犬や猫だか、すぐに判明します。
 *注 災害時には犬猫の迷子が多く発生します。鑑札や迷子札などを身につけていなかっ たり、つけていても混乱の中でなくしてしまうことも多々あります。


【その3 】出入国の際に必要

 先日ウクライナ難民の連れてきたペットの受け入れに関して、ネットで炎上がおきたようです。その後の農水省の説明を見るところ、対応に問題はなさそうです。ただし、猫は逃げやすいので心配です。(*犬に用いている狂犬病ワクチンは猫でも使用可能です)

海外赴任の際、あるいは、他国の人が日本在住時に飼われた犬や猫に関しては、MC装着後1か月間隔をあけて狂犬病予防注射2回接種更にその一か月後に、抗体価を測定して規定値を上回っていれば、出国が許可(出国の際数か月は時間に余裕を持ってください)されます。抗体価の有効期限は2年間です。

渡航先でも定期的ワクチン接種を行ってください。


【その4】今後MCを装着して譲渡された犬は、保健所での登録の必要がなくなる

 MCの登録は、基本、環境省に登録する方法(法的に絶対に必要です)と、
AIPOなどの団体に登録する方法があります。
 
環境省の登録データは保健所と共有されるため、従来行われていた、登録して鑑札をもらう事の必要はなくなります。しかし、AIPOなどの団体に同時に登録することも強くお勧めいたします。 *環境省、AIPOへの登録には、各々費用が1050円、300円かかります。

 迷子になってしまった際、飼い主様から環境省や保健所にMCのナンバーを問い合わせても情報を開示してもらえません。AIPOなどであれば、情報を教えてもらい、確認を取ることができますので、双方に登録するのがベストだと思います。





 ただしMCの情報がちゃんと飼い主様の名前に変更されていなければなりません。
購入譲渡時にはペットショップやブリーダーなどの名前で登録されていると思われますので、変更手続きをしなければなりません。現在登録済(一生に一度です)のワンちゃんは、そのままでも大丈夫ですが、なるべく装着してください。




 まだ、施行後間もないため、現場でも混乱を生じています。現時点で知りうる限りの情報は書きましたが、なるべく、かかりつけの病院にお問い合わせいただき、確認してください。

 

2022年7月3日日曜日

【獣医師のお話】世田谷獣医師会より・寄稿シリーズ 2 狂犬病予防注射は何故法律で義務づけられているの?

 ★飼い主の皆様へ気になる話題をわかりやすくシリーズでお届けいたします。
 第2回は「狂犬病予防注射は何故法律で義務づけられているの?です。

                 ご寄稿  獣医師 医学博士 本間義春 先生

 

世田谷区の狂犬病定期予防注射の実施期間が終了いたしましたが、接種し忘れた方はいらっしゃいませんか? 
そのままにしておくと、保健所から督促状がお手元に届きます。

 そもそも、何故他のワクチンと異なり、狂犬病予防注射の犬への接種が、法律で義務付けられているのでしょうか? 狂犬病という病気を良く知っておくことと、今の世界情勢から考えると日本への侵入リスクが高まっていることをよく考えておきましょう。



日本は、先輩獣医師の努力により、数十年にわたり一部例外(ヒトの場合海外渡航先で感染し帰国後発症した例)を除いて、狂犬病の発生が認められていない数少ない国の一つです。

それ故に、狂犬病を発病した犬などを実際に診察した先生は、高齢化のため、ほとんどいないのが現状です。狂犬病と確定診断を下すためには、疑いのある動物を殺処分して、脳の海馬という部分を調べて、そこにウイルスが存在しているかを確かめなければならないという事も、厄介な点です。

狂犬病ウイルスは哺乳類すべてに感染する可能性がある珍しいウイルスです。
たいていのウイルスは宿主特異性と言って同じ動物の間では感染しますが、他の動物に感染することはありません。動物により感受性の差はあるものの、ヒトや犬では、唾液など(咬まれた傷からウイルスが侵入します)を介して感染し、ひとたび発病すれば、ほぼ100%死亡してしまう恐ろしい病気です。

戦後しばらくは感染した野良犬が多かったことと、感染した犬は文字のごとく攻撃性が極端に強くなり人に向かって噛みついたため被害が拡大したことより、野犬の捕獲と狂犬病予防注射の義務化がなされたと聞いています。

猫は現時点で発生例がないので完全室内飼いであれば、ワクチン接種の必要はないと言われていますが、日本で最後に狂犬病を発病したのは猫だそうです。猫は病気になると暗くて狭いところに隠れてしまいますが、狂犬病を発病した猫は、攻撃的になると言われていますし、猫を飼う比率も増加していて、自由に外へ出入りしている猫も多いと思われます。

海外との貿易がさかんになり、貨物などに紛れ込んで、ウイルスに感染した動物が侵入する危険性も、毎年増加しています。侵入したウイルス保有動物が野生動物と接触、咬傷などから感染し、さらに、その動物が散歩中のワクチン未接種の犬や外で遊んでいる猫と遭遇して喧嘩などをすれば、家庭内に狂犬病を持ち込むことになります。更に、気が付かないでいれば、感染は急拡大します。勿論、近くにいる人も危険です。

世界情勢の変化とともに、海外から感染動物が侵入してくるリスクが増大しているので、将来的にはネコのワクチン接種もMC装着同様、義務化されるかもしれません。




上記理由から、狂犬病予防注射は法律で犬への全頭接種が義務付けられているのです。
狂犬病予防法という法律は、人の命を守るための法律でもあることを忘れてはいけません。新型コロナワクチン接種同様、集団免疫率(残念ながら現状では全国平均の接種率でも50%に達するかどうか程度です)をあげ病気の拡散を防ぐことが重要です。





2022年6月8日水曜日

【獣医師のお話】世田谷獣医師会より・寄稿シリーズ 1 「 マダニのちょっと気になるお話し」

  ★飼い主の皆様へ気になる話題をわかりやすくシリーズでお届けいたします。

 第1回は「マダニのちょと気になるお話し」です。

                 ご寄稿  獣医師 医学博士 本間義春 先生

 

ペット防災せたがやネットワークの皆様には、東京都獣医師会世田谷支部長任期中に、多摩川決壊を機に、防災に関していろいろと、つながりができ、HPでもたびたび名前をご紹介していただいていましたので、はじめまして、ではないかもしれませんね。しばらくの間、なるべく解りやすいような文書をアップしていきたいと思いますので、宜しくお願いいたします。



今年は、寒暖の差はあれ、少し季節の進み方が早いようです。この文書を書いている5月中旬でも、外は30℃に迫る暑さです。

狂犬病予防注射月間は46月ですが、すでに、フィラリアやノミ、マダニの予防も開始されている飼い主様も多いと思います。

マダニは、芝生や草木に潜んでいて、1匹が約千個の卵を産みます。子供のダニ(幼ダニ)から大人(成ダニ)になるまで、吸血しつつ3回程度脱皮を繰り返します。

ペットでマダニが寄生しやすい場所は、主に草むらに顔を突っ込むので、顔の毛の少ない皮膚の露出された、耳の淵、目の周り、口唇部、などです。


成ダニが血を吸うと豆のように黒いイボのように見えますが、もし、ウイルスを含んでいた場合つぶすのは非常に危険なので、見つけても取ろうとせずにかかりつけ医に連れて行ってください。

足やおなかの皮膚にもつきやすく、特に幼ダニが寄生した場合、成ダニとは異なり、体高の低い犬は、おなか一面に湿疹ができたように見えます。赤い湿疹の真ん中に黒い点のようなものが見えます。


SFTS(重症熱誠血小板減少症候群)という病気ですが、ウイルスによる感染症です。数年前に中国から侵入し、ウイルスを保有しているマダニに咬まれることで、野生動物、ペット、人が感染し、発病した場合、人では約230%の死亡率があると今までの研究ではわかっています。




感染した動物では、発熱、食欲不振、嘔吐、黄疸、頭痛(ヒト)などの症状が認められ、血液検査を行うと、血小板や白血球の著しい減少と、血清ビリルビン値の上昇が認められます。犬は比較的無症状の場合も多いのですが、猫の場合感染した半分が1週間以内に激烈な症状でなくなってしまうようです。外におでかけする猫ちゃんは要注意です。

数年前に中国から侵入し、主に九州中国地方などで流行し始めましたが、シカやイノシシなどの野生動物がウイルスを保有したマダニの運び屋となり、徐々に北上し、昨年には、人では初めて、箱根の山を越えた千葉県で死亡者が発生いたしました。

 関東地方以北の獣医師は、ほとんど、診察経験がありません。感染した獣医師の話を聞くと、感染猫の採血の時に飛び散ったウイルスを大量に含んだ血が目の結膜について、そこから感染してしまい、数日でICUに入院し生死の境目を漂ってしまったそうです。世田谷区は緑の多い公園や、多摩川の河川敷など、都会の中では野生動物が生息しやすい環境が多いので、獣医師会の先生方の間でも、今後、九州のような状況になることを危惧しています。

 新型コロナの様々な行動制限も緩和されてきた今、皆様も公園の散歩や、野外にお出かけの際は、皮膚の露出部分をできるだけ少なくマダニがつかないように、ペットには必ずノミダニ予防を行ってください。