2021年7月20日火曜日

【防災のおはなし】災害に備える日々のしつけ 〜まずはクレートを身近な居心地の良い場所に〜

 いざというときに備えて飼い主ができるしつけはなんでしょう?

当ネットワーク理事、ドッグトレーナーの川原志津香が災害に備える日々のしつけ、クレートについてお話しいたします。


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「地震だ!」大きな揺れを感じると、日本に暮らす私たちは、机の下に避難するように子供の頃から何度となく教わってきています。

では、大きな地震に遭遇したときに、犬たちはどうでしょうか?
揺れと同時にガタガタと家の中の物が音を立てるのにびっくりして吠え、不安で逃げ回る犬もたくさんいます。
地震大国日本では、体に感じられる大小の地震が年間を通して起こりうるのですから、ぜひ、犬たちのための備えもしてみませんか?

とは言っても、犬たちにとっては「地震だから」「避難訓練だから」といった違いは分かりません。本物の地震のときにはこうしなさいねと言葉で説明することもできません。

では、どうしたら良いのでしょうか?
簡単です。
地震が起きても、その中にいれば安心安全という場所を、日頃から大好きな場所にしておけば良いのです。

(クレート内で熟睡)


安心安全な場所として、私たちはクレートを日頃から使ってくださいと飼主様方にはお伝えしています。

クレートというのは、プラスチック製の箱型のハウスのこと。
最初に子犬を家に連れてきたときや動物病院に連れて行くときだけ使うという方も多いのですが、これを日常的に使ってあげることで、安心してくつろげる場所を作ってあげることができますし、いざというときの備えにもなります。

狭い場所に閉じ込めるのはかわいそう、という声もよく聞かれます。
でも、もともと犬はこっそりとした居心地の良い場所が好きですから、無理矢理中に押し込んで扉を閉められたという嫌な体験がなければ、置いておけば意外と自分で中に入って寝ていることもあるぐらいです。

普段はクレートを片付けてしまっているという方も、試しに普段犬が生活しているリビングの一角にクレートを扉を開いた状態で置いてみましょう。
中にフードを少し入れてあげて、自分で中に入るようにしてみます。
行けば時々フードが中に入っているという場所があれば、度々見に行くようになるはずです。お気に入りのタオルやベッドがある場合は中に入れてあげても良いでしょう。
出入りしているうちに居心地の良さを感じて、中で過ごす時間が増えてくると思います。
どうぞ試してみてください。

(気がついたら入って寝ていることも)


間違っても、中に入りそうになったところをお尻を押して中に入れようとしてはいけません。そんなことをすれば、次からは騙されないぞ、と言わんばかりに後ろを振り返りつつ、後ろ足を出来るだけクレートの外に置いたままフードだけ取って急いで逃げる子に育ててしまいますから。

もし、すでに何度か無理矢理押し込んでしまってすっかりクレート嫌いにしてしまっているという方も、諦めずに、上のようにフードを中において、自由に取りに行かせる方法を試してみてください。
人が見ている限りはクレートに近寄らないほど嫌いになってしまっているかもしれませんが、根気よく繰り返していると、自分でフードを取りに行くようになるはずです。

日常的に使うことでクレートという場所を居心地の良い安心な場所と認識してくれたら、特別なトレーニングをしなくても大きな揺れを感じたり、不安な気持ちになったときに、自らクレートに逃げ込むという行動を取る犬も出てきます。

クレートを身近なものにしてあげること。
早速犬の生活するスペースにクレートを置いてみてください。

え、クレートをお持ちではない?小さすぎる?

そんなご家庭では、まず、ご自身の犬に合うサイズのクレートを用意してあげることから備えを始めましょう!

もちろん、揺れを感じた飼主が「ハウス」と言えば自らクレートに入るようにするようにも練習もできます。また、いざ避難という事態には扉を閉めて中に入っていられるように短い時間から徐々に練習していくこともできます。

その練習方法についてはまたの機会にお話しすることに致しましょう。





川原 志津香 
Can ! Do ! Pet Dog School家庭犬しつけインストラクター
CPDT-KSA
東京都動物愛護推進員
日本ペットドッグトレーナーズ協会 理事
ペット防災せたがやネットワーク 理事

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