いざというときに備えて飼い主ができるペットの健康管理はなんでしょう?
当ネットワーク理事、世田谷区獣医師会所属 獣医師 長谷川 承(しのぐ)より
災害に備える日頃からの健康維持について、お話しいたします。
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世田谷区のペット同行避難を進めるペットの専門家、飼い主のネットワーク「ペット防災せたがやネットワーク」の公式ブログです。 「獣医師のおはなし」「防災のおはなし」をお届けします。
いざというときに備えて飼い主ができるペットの健康管理はなんでしょう?
当ネットワーク理事、世田谷区獣医師会所属 獣医師 長谷川 承(しのぐ)より
災害に備える日頃からの健康維持について、お話しいたします。
いざというときに備えて飼い主ができるしつけはなんでしょう?
当ネットワーク理事、ドッグトレーナーの川原志津香が災害に備える日々のしつけ、クレートについてお話しいたします。
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「地震だ!」大きな揺れを感じると、日本に暮らす私たちは、机の下に避難するように子供の頃から何度となく教わってきています。
(クレート内で熟睡)
(気がついたら入って寝ていることも)
間違っても、中に入りそうになったところをお尻を押して中に入れようとしてはいけません。そんなことをすれば、次からは騙されないぞ、と言わんばかりに後ろを振り返りつつ、後ろ足を出来るだけクレートの外に置いたままフードだけ取って急いで逃げる子に育ててしまいますから。
日常的に使うことでクレートという場所を居心地の良い安心な場所と認識してくれたら、特別なトレーニングをしなくても大きな揺れを感じたり、不安な気持ちになったときに、自らクレートに逃げ込むという行動を取る犬も出てきます。
もちろん、揺れを感じた飼主が「ハウス」と言えば自らクレートに入るようにするようにも練習もできます。また、いざ避難という事態には扉を閉めて中に入っていられるように短い時間から徐々に練習していくこともできます。
その練習方法についてはまたの機会にお話しすることに致しましょう。
「ペット防災~世田谷区獣医師会の取り組み」
(公社) 東京都状医師会世田谷支部 支部長 本間義春 先生
防災委員長 田部久雄 先生
い、災害時に獣医師会所属の動物病院が被災していない場合、負傷した動物の応急処置を
無料で行うという契約のみ締結していました。
その後、東日本大震災以降、区民の皆様の防災意識が高まったことにより、
獣医師会は、保健所、街づくりセンターなどと相談し、会を5ブロックに分け、
ブロック毎に2名以上の防災委員を配置することで、ペット防災についての講演、避難場所
の確保、実地訓練など、アドバイザーとしてペット同行避難に貢献してまいりました。
*世田谷区獣医師会HPよりその効果もあり、平成30年には、たった2か所での防災講演も、令和元年には9か所に急増
いたしました。
令和1年は、台風19号による多摩川決壊もあり、地震対策だけではなく、温暖化による風
水害対策についても検討し、氾濫個所に一番近い支部員の先生に、当時の対処法を報告して
いただき、獣医師会内で情報共有するとともに、東京都獣医師会の会報にも掲載させていた
だきました。
また、獣医師会支部防災委員だけにではなく、支部員全員に、ペット防災に関する知識を
つけ、地域に貢献できるように、
令和1年10月の支部会にアナイス(ヒトと動物の防災を考えるNPO法人)代表平井潤子氏を講師に招いての勉強会、
令和2年の8月には、平井氏はじめ、世田谷区議の先生、獣医師会防災委員、杉並支部、
現支部長、前支部長、保健所課長、とともに、地震と風水害に関する勉強会を行い、その結
果をまとめ獣医師会で共有いたしました。
杉並支部のみならず、新宿支部、品川支部など隣接した他支部との情報交換にも、力を入れ
るようにしています。
その後も令和2年12月17日には前述の平井潤子氏と、発災時の情報収集と難しさについて、
過去の失敗例をもとに勉強、検討会議を行いました。
a) ペットの避難場所の確保、飼い主様の防災意識の向上、啓蒙活動
世田谷区では、ペット同伴避難は認められていません。ペット同行避難と言い、飼い
主様とペットの居場所は別々となります。ペットの鳴き声、糞尿の臭い等による、ペット
を飼っていない人とのトラブルを何としても回避しなければなりません。
個々の飼い主様の、ペット防災に関する意識の向上も、非常に大切だと思われます。
大きな災害に見舞われた場合、公立の小中学校だけでは、ペットを受け入れる避難場所
としては、圧倒的に数が足りないかもしれません。
さらに、新型コロナ感染症の三密対策により受け入れキャパシティに制限が生じているのが実情です。
昨今では、公設の避難所だけでなく、その他にも個人的な避難先を平時に確保しておき、
臨機応変に避難できるよう「分散避難」を心掛けることが推奨されています。それらの情
報を飼い主様に啓発し、飼い主様自身が複数の避難先を確保しておくことが、喫緊の課題
と思われます。
避難場所設定に関する、衛生面も含んだアドバイスであれば、獣医師会としてもご協力
できるのではないかと思います。
b) 発災時の正確な情報収集と、情報発信について
P防様が、この部分の担当となると思いますが、玉川1ブロックのボランテイアが中心と
なって世田谷全域をカバーすることは、100%不可能です。
保健所では、被災動物ボランティアを区民に対して募集しており、その勉強会等を通じて、
仲間を増やすことが、まず、必要と思われます。
また、獣医師会の先生の中にも、ペット防災のボランティア活動に積極的な患者様等を
ご存知かもしれませんので、獣医師会の先生を介して繋がりを広めることも可能ではないで
しょうか?
そして、各ブロックにP防様のような情報に関する拠点となる団体を設置し、互
いに連携を取ることで、多少はパニックを防ぐこと可能だと思います。
正確な情報の発信は、時間軸に差が生じるため、保健所、獣医師会、P防様等のボラ
ンテイアか密接な連携をとり、オンタイムでの情報管理ができる様に訓練しておくこ
とも、今後の大きな課題でしょう。
【まとめ】
発災時には、行政、獣医師会、ボランティア団体が行えることは限られてきます。
いつ起こってもおかしくなく、ちゃんと機能するか疑問な点もあります。
しかし、平時から少しずつでも各所が連携を取り、問題点をあぶりだし、解決していく
ことにより、被害を減らすことは可能です。
最後に、飼い主様が、常日頃、イメージトレーニングをすることも、大切だと思います。
為すべき課題は、山積していますが、 獣医師会としても、平時に、できる限り各所と連
携、協力を促し、情報提供も行うことにより、お役に立てるよう、微力ではありますが、
努力を続けていく所存です。
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●世田谷区獣医師会 HP
●世田谷区獣医師会 HP:防災/災害対応
1年目の活動は、コロナ禍で思うような活動ができませんでしたが、各所との話し合いをする時間がたくさんとれました。
世田谷区獣医師会とは、ペット同行避難についての問題点や課題について話し合いしっかりと連携を取ることができました。世田谷区獣医師会HPでは、ペット防災せたがやネットワークのリンクが貼られています。
防災・災害対応 | 世田谷区獣医師会 (vets.tokyo)
世田谷保健所とは、避難所の現状や被災動物ボランティアについての話し合いをしてきました。
世田谷区の横のつながりを強化するため、上野毛地区、砧地区、瀬田地区、上馬地区、深沢地区、駒沢地区の地域の方々との交流を持ちました。
避難所にペット班を設置する為には、その地域に住む方々の力が必要不可欠です。人と動物が共生する地域作りのためにも、しっかりとしたネットワークを繋げていきたいと思っています。
ステイホーム中の今出来る事として、自宅は浸水地域なのかハザードマップで確認して、家族で避難経路、避難場所を確認してみてください。
震災時、もしかしたら家族バラバラの場所で被災するかもしれません。数日連絡がとれなくなる事があるかもしれません。どこに避難すればいいのか、どんな風に家族と連絡をとるのが、シュミレーションしてみてください。
令和3年度は、地域の防災訓練にも是非参加してみて下さいね。
ペット防災せたがやネットワークでも、ペット同行避難訓練を行いたいと計画しています。
活動報告の詳細はペット防災せたがやネットワークのHP「活動報告」
ブログをご覧下さい。
ペット防災せたがやネットワーク 代表 浜田 あゆり
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上野毛まちづくりセンター管内(上野毛(1~4丁目)、野毛(1~3丁目)、中町(1~5丁目)掲示板には、「ペット防災せたがやネットワーク」のチラシを掲示させていただいていました。掲示期間が終了になったので、多摩川周辺の地区をちらしを回収しながら、災害時の行動を考えてみることにしました。
良く見ると、2階ほどの高さの壁に浸水の跡が残っているところもあり、被害の大きさがわかります。
後日、東京都獣医師会 世田谷支部の水害アドバイザーである「クローバー動物病院」(世田谷区玉川1-17-21-1)蜷川先生に当時の状況と今後の備えについてお話しをうかがいました。
クローバー動物病院では?
台風19号が猛威を振るった10月12日。
クローバー動物病院では、結果的には、浸水の被害はありませんでしたが、一時は周辺地域での浸水が広がり病院の浸水も予測された状況でした。
クローバ動物病院では、あらかじめ、リスクが高まった際の行動のひな型を作っていたので、それに沿って、スタッフの安全、動物たちの安全確保のための移動について話し合われたそうです。
当日、ペットを飼育されていた方はどうされていたでしょうか?
【私たちができる備え】
蜷川先生が強く言われていたのは、「水害は読める」「地形を読み込む」ということです。
ハザードマップをよくよく見ることで、水害の危険が迫ってきた時、
どういう行動をするのか?手順、オプションを考え、実行することができる。のです。
地形を読み込むことで
リーダーは、ハザードマップから地域の避難ルートを誘導することができます。
自力で避難できないお年寄りは、早めに上に避難できるように手助けすることは、実際に
地域で意識して行われているそうです。
地域で活動する方々が、台風19号の被害を詳細に検証した資料も作られていました。
特に風水害では、激しい風雨の中避難してくる状況で室外にペットだけ置くということは考えられません。初めから、避難所へのペットとの同行をあきらめた人が多く、避難所に来てもペットは受け入れられないとと聞き、自宅が浸水しているのにひきかえした人もいました。その後、どうなったのかが気がかりです。
川崎市では、ペットを置いて避難はできないからと、避難せず亡くなられた方がいらしゃいました。ペットを4匹飼っていらっしゃったそうです。心からお悔やみ申し上げます。
「非常時を想定して、飼い主として備えをしておくこと」これはもちろん大切なことです。
しかし、毎年毎年、これまでに想定したことがない・・・という言葉が更新されるような大雨、集中豪雨の発生、大地震もいつ起こるかわかりません。誰でもそのとき、その時間その場面によって避難しなければいけなくなる可能性があります。
ペットの避難場所
台風19号の被害を検証し、
世田谷区では、風水害での避難の場合「各避難所でペットを受け入れます」と明確に打ち出されました。これは、「雨風の防げる屋根のある場所」です。
では、実際に避難所のどこをペットの避難スペースとするのでしょう?
前回「①台風19号が迫る当時の状況」で、見てきたように「昇降口」「体育倉庫」「多目的スペース」「体育館の一部」などで受け入れた例もありますが、避難所の施設形態によっても違ってきます。
次回は、「③台風19号の被害を踏まえた対応は?」をお送りします。
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①台風19号が迫る当時の状況
浮かび上がった問題
多摩川氾濫危険情報が発令され、多摩川の水位の上昇がテレビなどで繰り返し報じられたこともあり、アクセスが集中したと思われます。(実際に私もこの時なんとか避難所の情報を知りたいと区のHPにアクセスを試みていましたが、つながらず、TwitterやSNSで情報をさがしていました。)
SNS上では、世田谷区はペット同行避難ができると聞いていたのに、連れて行ってみるとだめだと言われ帰ってきたという話や、世田谷区はペット同行避難ができないという情報が広がっていました。
最初に開設された自主避難所に「ペット受け入れ態勢はございません」との説明があり、その後、世田谷区の避難所についてそれ以上の情報が得られないこともあり、それがそのまま一律に「世田谷区はペット同行できない」という情報として伝わっていったように思います。
【避難所 B】 16:59
「体育館の倉庫が同伴避難場所。まだ外にも犬猫連れてきた方々並んでいます。倉庫は満員ですが物をどかしてこれからスペースひろげます。」
「町会の方と相談し、ここが犬猫同伴避難エリアとしていただきました。
外の広場も屋根あります。すぐに避難してください。」
ペット同伴。体育館入って右側手前のブロック許可いただきました。
今現在数匹のウサギやわんちゃん避難しています。
『大切な地域のつながり』
・ ある避難所では、すでにペットと一緒にいられるスペースがありました。
・ある避難所では、入口でペットは入れませんというアナウンス
・ある避難所は当日現場で決定し、臨時でペット避難スペースを開設et
地域防災に取り組む町会の方々、運営に関わっている様々なポジションで活動する方々の表情や落ち着いた対応等を目の当たりにし、避難所運営をまとめている様子や思いに実際に触れ、改めて感じ入りました。
避難所運営はエリアごと違うのですから、納得がいきます。そして、ペット防災について乗り越えるべき多くの課題もよく理解できました。
〈ペット防災せたがやネットワークブログ「ペットと私と防災」菊池ひとみより抜粋〉
避難所で浮かび上がった問題
・開設数を順次増やしていったが避難所がいっぱいになり入りきれず、他の避難所に回らざるを得なかった方もいた。
・実際の現場では、ペットと人を分けるということはできなかった。
・自宅が浸水しているのに、ペットと入れないので、ひきかえすという人もいた。
・ペット受け入れを断られたが、現場で粘りよく交渉し、限定したエリアで受け入れた事例もある。
↓
上記のことから
「各避難所ごとに、風水害の際と地震の際を想定して具体的なペット受け入れの体制を考えておくこと」
避難所ごとのペット同行マニュアルの作成が重要だと考えます。
次回は、
②風水害の危険が迫る時 できることは?
ペット防災せたがやネットワークでは、当時の資料、報道、インタビューをもとにペットと共に地域に暮らす飼い主の視点から当時の状況をお伝えし、その後の検証でうかびあがった課題と対策、「ペット同行避難」についてみなさんと共に考えていきたいと思います。
「風水害」と「地震」では、区の指揮系統も、避難所の運営管理も違っています。(このレポートを書いている自分自身も、この時は、よくわかっていませんでした。詳しくは後述)が、私たちが直面した台風19号による体験から、風水害での「ペット同行避難」を進めることが、震災時のペット同行避難へのアプローチにもなると考えています。
地域の皆様、ペットを飼っている方もいない方も、ご質問、情報、ご意見などどうぞお寄せ下さい。
①台風19号が迫る当時の状況・・・避難所、ペットの受け入れ
②風水害の危険が迫る時できることは・・・クローバ動物病院蜷川先生インタビュー
③台風19号 被害を踏まえた対応
(文・編集 斉郷 恵)
世田谷区山野小学校の避難所開設訓練で、ペット同行避難についても、検証されるということで、「ペット防災せたがやネットワーク」も、見学参加させていただきました。
世田谷区では基本的にどの避難所もペット同行避難ができるとされています。しかし、ペットをどのように受け入れるのか、ルール作り、運営は各避難所運営組織が協議して行うことになり、実際の受け入れについては避難所により異なります。
世田谷獣医師会では、各地区防災担当の先生が決まっていますが、これまでも山野小では獣医師会の先生がペット同行避難訓練を担当されています。
参加人数はしぼったそうですが、それでも多くの地域の方々が参加されていました。
山野小の校長先生、世田谷区からは、保健所、砧まちづくりセンター、防災担当の職員の方が参加されていました。
私たちは、世田谷獣医師会の支部長本間先生、防災委員長の田部先生に同行させていただき、風水害時のペットの避難スペースとされている昇降口に向かいました。
*風水害時、世田谷区ではすべての避難所で風雨がしのげる屋根のある場所にペットの避難スペースをつくるとされている。
新型コロナ対策のため、設営は一部に縮小して行われています。
・ブルーシートを敷き、ペットケージ棚を設置
ペットケージ棚の設置は地域の専門業者の方が協力してくださっているそうです。
日頃の地域のつながり、協力関係があるからこそできていることですね。
さらに、ペットの安全を考え、滑らないシート、ケージ間に仕切りを入れることなども検討されていました。
しかし、各避難所ごとに、場所も広さも違います。避難所に合った形態があると思いますが、それを見いだすには、机上だけでなく、実際に避難所設置をしてみることで課題も解決策も出てくるのだと感じました。
世田谷区ではケージは飼い主持参が原則です。
このように実際にケージを置いてみると、安全性、衛生面、ペットの管理をどのようにすればよいか、課題点が具体的になってきます。
写真ではよくわかりませんが、獣医師会の本間先生の愛犬のトイプードルがケージに入っています。
ここでは、(風水害での一時避難長くても1日を想定しています。)
また、アレルギーの方への対応、人の動線と重ならないエリア分けを確認しました。
この日は、さらに、体育倉庫に行き震災時のペット避難場所について、検討が行われていました。
昨年の台風19号では、世田谷区でのペット同行避難の態勢が問われました。
山野小避難所運営本部長の原岡様から、
「山野小では10年くらいかけ少しずつ取り組みを進んできた。ここが世田谷区の中で特に進んでいるわけでなく、どこの避難所でも、その避難所のルールがあるというようにならなければいけない」というお話しをうかがいました。
山野小学校避難所開設訓練に参加させていただき、避難所のペットの受け入れルールを作ることが重要だと強く感じました。
山野小学校避難所運営組織のみなさま、ありがとうございました。
■「山野小学校での避難生活のルール」世田谷区HP
https://www.city.setagaya.lg.jp/kinuta/006/008/d00187199.html
ペット防災せたがやネットワークでは地区ごと、避難所ごとのペット受け入れルールを作ろうと取り組んでいます。
今年度は上野毛地区を中心に、ペット受け入れのルールー作り、マニュアル作りを進めていますので、その様子は活動報告でお伝えしてまいります。
(斉郷 恵)
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